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◆前立腺癌の患者さんへ

前立腺癌は近年その患者数が急速に増えています。
その特徴は進行が比較的ゆっくりとしていること、また腫瘍マーカー のPSAという検査が非常に役に立つということです。
さらにホルモン療法が一定の効果をもたらすことも特徴です。
このためスクリーニングとして、まず血液検査でPSAの測定を行い、 高値を示した時にはMRIなどの詳しい検査が必要になります。
その結果がんが発見され場合、そのがんの拡がりが治療方針に影響します。
がんが発見されたり、たとえがんが発見されなくてもPSAの値が非常 に高かったりする時には前立腺の生検を行う必要があります。
生検とは腰椎麻酔下に直腸から超音波で前立腺を確認しながら細い針 で前立腺を刺す検査ですので危険も伴います。そこで得られたがん細 胞の悪性度を示す指標をグリッソンスコアと言います。
これらの治療前のPSAの値、病気の拡がり、グリッソンスコアによっ てその患者さんの前立腺癌の危険度(悪性度)が決められます。
この危険度にしたがって治療方針も決定されます。


◆前立腺癌の治療法について

前立腺癌の治療法としては、手術療法、放射線療法、ホルモン療法が あります。それぞれに長所、短所がありますので詳しくは主治医の先 生にお尋ね下さい。
危険度が低い方には手術療法や放射線療法が行われ、両者の治療成績 に差は見られません。
さらに放射線療法には外部照射という方法と組織内照射という方法が あります。この両者にも治療成績に大きな差は見られません。
外部照射は文字通り放射線を外から照射しますので患者さんは体を動 かないようにする固定具をつけて、ベッドの上に寝ているだけで治療 は約20分で終了します。
しかしこの治療は平日毎日約6週間から8週間連続する必要があります。
これに対し、組織内照射は放射線の出る小さな針を前立腺の中に埋め 込む手術が必要なため数日間の入院を要し、しばらくの間日常生活に 制約はつきますが、短期間での治療が可能です。

当院は外部照射の専門施設ですので組織内照射はできません。
ご希望があれば、他施設を紹介させていただきます。

両方の放射線治療においてもわずかながら副作用の可能性があります。
主なものは前立腺の近くに存在する直腸と膀胱に起こります。特に治療中は尿意頻拍など膀胱炎症状が開始後2週ぐらいから起こってきます。
また、直腸にも炎症が起こり、便意異常などが見られることがあります。 まれには血尿や血便の見られることもあります。しかしこれらは殆ど一 過性で治療が終了するとまもなく消失します。
治療終了後ごくまれに一年以上経過した後でも直腸や膀胱からの出血が あることがあります。
これも多くは一過性ですが中には治療を要する場 合もあります。
危険度が高くなるにつれ放射線治療、特に外部照射の重要度が増してきます。
放射線治療前にホルモン療法でまずがんを小さくする方法が行われるこ ともあります。
危険度が高くなれば病気を抑えるために必要な放射線の量も多く必要に なります。しかし、ただ単に放射線の量を増やしてしまうとそれに伴っ て副作用も多くなってしまいます。

それを防ぐために有効な治療法がIMRT(強度変調放射線治療)です。

この治療法は治療計画装置と呼ばれるコンピュータの進歩によって可能 になりました。
出来るだけがんに集中的に放射線を照射し、周囲の直腸や膀胱など正常 組織への照射量を最小限に抑えるようにするものです。 これによりがんの危険度の高いものから低いものまで従来よりも多くの 放射線を安全に照射することが可能になりました。
結果、病気の治癒率も向上し、副作用も減少しています。
言葉の上では簡単に出来そうな治療ですが、より多くの放射線を照射す るため更なる正確さが必要となります。そのためコンピュータで立てら れた計画がどのように照射されているのかを実際にファントムと呼ばれ る患者さんの代わりとなるものに照射して確認します。それも一度でな く数種類の方法で確認します。
この過程を経て患者さんへの治療を始めることが出来るのです。
通常これらの準備のためにかなりの時間を要しますが、当院では患者さ んの不安を最小限に抑えるために初めてクリニックを訪問されてから約 1週間で治療が開始出来るようにしています。
さらに正確な治療を行うためには毎回患者さんの動きによるずれが生じ ないように固定具で患者さんを固定し、これに付けたマーカー位置も照合します。
しかしここまで照合しても実際には体の位置は少し動いているものです。
この動きを調整するためにOBI(バリアン社製)と呼ばれるX線透視 及び撮影装置を用います。
その時CTから作成した体輪郭画像(骨構造)と毎日治療前に撮影され る骨構造が一致するように調整します。
このようなシステムが確立したことで、患者さんにより多くの放射線を 安全かつ正確に照射することが可能になりました。


◆早期がんと診断された方

がんが早期でまだ小さければ、最新技術を使った放射線治療により、副作用を 最小限におさえて、手術と同等の治療効果が期待できます。
主な適応は前立腺がん、肝臓がん、肺がん、すい臓がん、脊椎腫瘍などです。 ご相談ください。

なお、正確な治療のためには前医の情報提供書が必要です。 主治医の先生にご相談下さい。


◆進行期のがんと診断された方

手術、抗がん剤、放射線治療が適応になりますが、当院ではできるだけ患者さんのご希望に 沿った治療を提供いたします。
一般に放射線治療による治療効果は、どれだけ多くの放射線をがんに当てること ができるかに左右されます。従来の照射方法では、がんとともに照射される正常組織の副作用のため、進行 がんに対して十分な放射線をがんに当てることが不可能でした。
最新技術を使った放射線治療では、がんの部分だけに放射線を絞って当てること が可能となり、 がんには多くの放射線を当て治療効果を向上させると同時に、がんの周りの正常 組織に対する副作用の軽減も可能となりました。
す なわち、進行期の肺がんや頭頚部がんの患者さんであっても、今まで以上の放 射線をがんの部分だけに集中的に追加できます。 副作用を抑えた、よりがんが治る治療を行います。
ところで、私共の施設で追加の放射線を目的部位に集中的に当てる前に、ある程 度の量の放射線をがんの部位に広く当てることが必要な場合があります。
当院より前に受診されている病院と連携して治療を行いますので、当院で治療を開始される前に、患者さんのがん治療を担当されている主治医の先生の了解が望まれます。


◆がんの再発・転移と診断された方

元々がんがあった場所の再発、あるいは、他の場所(肺、肝臓、脳、骨、リンパ節など)への転移であっても、その数が少ない場合には、手術、放射線治療、抗がん剤治療などそれまでに受けられた治療にかかわらず、私共の施設では積極的に関与いたします。
現在に至るまで、これらの患者さんに対しては、がんが再発した場合の治療成績が良くないため、積極的な治療はあまりなされてきませんでした。
しかし、最近は優れた薬剤療法の開発、転移に対する手術などが徐々に進歩し、がんの再発に対する医療が少しずつ変貌しつつあります。 放射線治療においても例外ではありません。
高精度な放射線治療を用いて、以前で は治療できなかった患者さんに対しても、治療可能になってきたわけです。
例えば、骨転移をきたした乳がんの患者さんでも、日常生活に支障なく、長い余命を 保たれる可能性が高いため、がんの進展状況を十分に吟味した上で、単なる症状を 緩和する治療ではなく、治癒に準じた治療を目指す価値は十分にあります。 また、大腸がん(直腸がん)の患者さんが肝臓への転移で再発された場合でも、放射線治療だけで肝臓転移切除手術と同等の治療成績は放射線治療で可能となります。
その他のがんの再発・転移につきましても、高精度な放射線治療により治癒に準じた 治療を期待できる可能性が生まれますので、ご相談ください。
私どもから現在治療を受けている先生に資料の提供を依頼する事も可能ですので、 ご相談ください。